大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年7月31日

180-衆-法務委員会-10号 平成24年07月31日

○大口委員 公明党の大口でございます。よろしくお願いいたします。
まず、今回の裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対して、公明党として賛成をいたします。
そこで、最高裁は、平成十四年度から平成二十三年度にかけて、十年計画で四百五十人を増員し、さらに、これとは別に、裁判員制度導入ということで、平成十七年度から二十一年度までの五年間で百五十人の増員をいたしました。裁判の迅速化、専門化への対応等のための増員計画は昨年度までで終えたわけでありますが、これらの増員によって、司法制度改革の目標に対し、審理期間の短縮、充実がどの程度前進したか、数値でお答えいただきたい。また、今後の裁判所の人員の計画、増員についてどう考えておられるか、最高裁にお伺いいたします。

○戸倉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所は、今御指摘のように、平成十四年以降、十年間で約六百名の裁判官を増員したところでございます。
その結果、例えば地方裁判所の民事訴訟の第一審の審理期間は、平成十二年は八・八月であったものが、昨年、平成二十三年には七・五月に短縮しております。
また、未済事件のうち二年を超えた長期の未済事件の割合は、平成十二年には一二・四%ございましたが、平成二十三年には六・四%と、ほぼ半減をしております。
さらに、専門訴訟への対応ということで、審理の充実、対応の強化をいたしまして、これを比較いたしますと、例えば医療関係訴訟の平均審理期間は、平成十二年には三十五・六月でありましたが、平成二十三年には二十五・九月になっております。また、知的財産訴訟の平均審理期間につきましても、平成十二年は二十一・六月であったものが十四・二月という結果でございます。
こういった成果もあったわけでございますが、その一方で、この十年間は、社会情勢、経済情勢の変化等を背景といたしまして、民事訴訟事件が大幅に増加いたしました。
その結果、私どもが当初想定しておりました手持ち事件の減少ということは図ることができませんで、その結果といたしまして、例えば人証調べがある判決で終局した事件、この審理期間は、これは十二カ月という目標を立てておったわけでございますが、昨年の時点でなお十九・二月という状況でございます。
また、合議率につきましても、一〇%という目標を掲げておりましたけれども、これは特に過払い金事件が増加したという要因もございまして、これも平成二十三年の比率で申し上げますと二・九%という状況でございます。
そういったことで、裁判所といたしましては、こういった目標を達成すべく、今後とも、またさらに取り組みを進めたいと考えております。
今お尋ねの今後の増員の計画でございますが、委員御指摘のように、司法制度改革審議会で申し上げた四百五十人の増員というのは、一応ほぼ到達したわけでございます。その後の増員計画でございますけれども、これは、さまざまな事件動向ということがまず一番重要になってこようかと思っております。
そういった点では、昨今の社会情勢、経済情勢の変化、あるいは国民の権利意識の高揚等を背景といたしまして、専門的知見を要する事件や、あるいは先例のない事件ということが裁判所に参っておりまして、事件は非常に複雑困難化しております。また、事件数も、ここのところ少し落ちつきは見せておりますが、なお高い水準で推移しておるわけでございます。
こういった状況に照らすと、今後とも、審理のさらなる充実、迅速化を図るとともに、これは特に複雑困難事件については合議体による審理をさらに進めていくということも必要でございますので、そのための人的手当てが必要になるというふうには考えているところでございます。
ただ、具体的に何人を、中長期的に何人をどのようにということになってまいりますと、一方で、審理の適正迅速化につきましては、弁護士の執務体制を含めた訴訟実務の変化ということも影響してまいりますので、こういったことも見ながら対応していかなければならないという事情がございます。
そういった事情も考慮いたしますと、特に事件動向は非常に今変化が激しゅうございますので、特に長いスパンで見て、どの程度の人数が要るかということを今時点で直ちに、確たる計画という形で申し上げるのは非常に厳しいのではございますけれども、我々いろいろ試算をしておりまして、例えば、平成十三年ですか、司法制度改革審議会において増員必要性四百五十というのを御説明したわけですけれども、その考え方を近年の事件数で当てはめて試算をいたしますと、さらになお四百名程度の裁判官の増員は必要になるというふうに結果が出るわけでございます。
最終的に、具体的な増員をどのような形で行っていくかというのは、その時々の事件動向等も考慮しながら検討していくことになることではございますけれども、今のところ、そういうところでございます。

○大口委員 丁寧な御答弁になっていますが、もう少し簡潔にお願いしたいと思います。四百人ぐらいを考えているということ。
次に、成年後見制度について、公明党プロジェクトチームで、この利用促進ということで法案を検討していまして、この前、骨子も出させていただきました。私、そのプロジェクトの座長をさせていただいております。
成年後見制度、これは、判断能力を欠くか不十分な方を保護する制度ということで、平成十二年に従来の禁治産、準禁治産宣告制度を改正する形で導入されたわけであります。認知症の高齢者、知的障害者、精神障害者などが想定されているわけでありますけれども、本人の財産の保護というだけではなく、今、措置から契約ということで、福祉サービスを受ける契約、こういうものも後見人が処理しなければならない、こういう福祉的な役割というのが非常に重要になっているわけでございます。
認知症高齢者は、現在二百八万人とも言われておりますし、また推計では、二〇一五年には二百五十万人、二〇三〇年には三百五十三万人に達する、こういうことでございまして、知的障害者の方約五十四万人、精神障害者の方三百二十三万人ということでございまして、今、孤立化する社会ということからいいまして、ますます成年後見制度のニーズは高まっている。しかし、それに比べて、その利用がどこまで進んでいるのかということでございます。
二〇一一年度の成年後見関係事件の申し立て件数でいいますと、三万一千四百二件と、前年の三万七十九件よりは四・四%増加しましたが、そのような程度でございました。また、二〇〇〇年四月から昨年末までで二十五万七千七百九十一件が累計としてあるわけでありますが、その程度にとどまっているということでございます。
認知症高齢者等の人数及び将来の推計と比較して、成年後見制度の現在の利用状況をどのように認識しているのか。また、もっと利用しやすいものにするために裁判所でどのような対応をしていくのかということについて、最高裁にお伺いしたいと思います。
ちなみに、ドイツは、人口八千二百万人ですが、法定後見が百三十万、そして任意後見が百十万、計二百四十万ということで、日本はその十分の一程度であるということでございます。

○豊澤最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
昨年度の成年後見関係事件の新受件数、それから制度発足以来の累積の申し立て件数については、委員御指摘のとおりの数でございます。
これらの事件は、いずれも当事者の申し立てによって開始されるものでありまして、家庭裁判所は、その申し立てがあった事件についてのみ審理、判断を行う、こういうことになっておりますため、現在の利用状況に関して見解を述べるという立場にはありませんが、今後も事件動向には注視してまいりたいと考えております。
最高裁といたしましても、動画の配信を含めてウエブサイトで手続の説明を行っているほか、成年後見関係事件に関するパンフレットなどを全国の家庭裁判所に配付するなどして、制度の周知等に努めております。
また、各家裁におきましても、最高裁から配付されたパンフレットを関係機関に配付して周知に努めているほか、これらを用いて、成年後見制度の利用を検討している方にわかりやすく手続の説明を行ったり、申し立てをされた方に対しては、各庁の運用の実情に応じたQアンドAを配付したりするなどの工夫をしているものと承知いたしております。さらに、各家裁では、利用者の利便性を高めるために、申し立て等に関する書式を整備、合理化するなどの取り組みも行っているものと承知いたしております。
今後とも、利用者のニーズを踏まえながら、利用しやすい手続とするように努力してまいりたいと考えております。

○大口委員 昨年の十月の二十五日、当法務委員会において、私は、親族後見人等による不祥事との関連で、家庭裁判所の体制づくりについて質問をさせていただきました。そのときに、事務処理体制の整備、家庭裁判所の人的体制の強化に努めたいという答弁があったわけであります。
そこで、この事務処理体制についてどう整備をしているのか、また、今回の裁判所職員定員改正法との関連で、家庭裁判所の人的体制の強化についてどうなっていくのかということをお伺いしたいと思います。
ちなみに、東京家庭裁判所は、後見センターということで集中的にやっておられますが、これらの取り組みについても御紹介いただきたいと思います。

○豊澤最高裁判所長官代理者 まず、家庭裁判所における成年後見関係事件の事務処理体制について申し上げますと、東京や大阪といった大規模庁におきましては、事件の適正、迅速な処理を目的といたしまして、これら後見関係事件を専門的に取り扱う後見センターを設置するなど、各家庭裁判所の規模、実情等に応じて体制面の整備に努めてまいったところでございます。現在も、中規模庁を中心に、成年後見等の関係事務の集中処理体制をより拡充するなど、各家庭裁判所の実情に応じた整備に引き続き努めているものと承知いたしております。
また、人的体制の関係でございますが、家庭裁判所につきましては、特に成年後見関係事件を中心に、事件動向が増加傾向にあります家事事件の一層の適正かつ迅速な処理のために書記官を増員し、増員された書記官を繁忙庁を中心とした家庭裁判所に相当数を配置して活用しておりますほか、マンパワーをシフトさせるなどの内部努力によりまして、人的体制の整備を図ってきております。
今後とも、事件数の動向や事件処理状況を注視しながら、家庭裁判所がその機能を適切に果たすことができるよう、必要な体制の整備を図っていきたいと考えております。
以上です。

○大口委員 成年後見制度の需要は一層高まっているわけですね。特に、介護サービスの利用計画などの需要もあるわけであります。ところが、社会が孤立化し、無縁社会になって、親族がいないという高齢者の方もいらっしゃるわけであります。ですから、親族後見人という形にならない。専門職の後見人も、扱う事件数も限られているわけであります。
そういう点で、地域が支え合っていくということで、市民の中からしっかり市民後見人というのを育成していくのでないと、なかなか対応できなくなってきている。また、市民の中から市民後見人が育っていって非常にきめ細やかな対応もできるということでございます。
親族等がいないということで、市区町村の申し立て件数が二〇一一年で三千六百八十件ということで、成年後見関係事件全体の約一一・七%ということでございますけれども、今、厚生労働省の福祉の分野では、例えば、ことし四月一日に施行された老人福祉法三十二条の二で、後見、保佐、補助の業務を適正に行うことができる人材の育成、活用を図るために、研修を実施する、そして後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずるよう努めるということで、市区町村の役割ということが法的に明確化されておりますし、また、障害者総合支援法も同様の規定があるわけでございます。
そこで、家庭裁判所において、これまでの市民後見人の選任状況や、選任に当たって考慮すべき事情についてお伺いしたいと思います。また、老人福祉法や障害者総合支援法の市区町村の市民後見推進事業に対して、今後、家庭裁判所としてどう取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。簡潔にお願いします。

○豊澤最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
市民後見人のこれまでの選任状況につきましては、平成二十三年度以降、件数を把握しているところでありまして、平成二十三年の選任件数は九十二件となっております。
それから、市民後見人を選任する際の考慮事情につきましては、市民後見人の選任については個々の事案における各裁判体の判断事項ではございますが、一般的に申し上げますと、成年後見制度に関する一定の知識や技術、態度を身につけていること、社会貢献の意欲や倫理観が備わっているか、あるいは選任後も市区町村等の適切な支援が期待できるか、こういったあたりの事情を考慮して選任されているものと考えておりまして、市区町村の推薦の有無やその内容につきましても、その際の考慮要素の一つになるものと考えております。
それから、市区町村の市民後見推進事業等への取り組みに対する協力の関係でございますが、各家裁におきましては、これらの事業を実施する自治体等からの講師の派遣や検討会等へのオブ参加の要請があれば、司法機関としての中立性に反しない範囲で積極的に協力しているものと考えております。
各家裁は、委員御指摘の老人福祉法三十二条の二の趣旨等を踏まえ、その各庁の実情に応じて今後も同様の協力を続けていくものと考えております。
以上でございます。

○大口委員 受け身じゃなくて、本当に積極的に、しっかりやっていただきたいと思います。
そこで、成年後見人の権限について、いろいろと議論がされているわけでございます。
患者に対する医的侵襲を伴う医療行為は、患者本人の具体的な医療行為に対する同意を得て、違法性が阻却されるわけですね。しかし、患者本人が医療行為の同意につき判断能力を喪失している場合、我が国に第三者による医療同意代行制度は存在しておりません。医療の倫理問題に留意しつつ、制度化を図る必要があると思います。
この同意の代行について、刑法上の議論では、患者本人に判断能力がない場合、配偶者や保護者等、親族の同意によって違法性が阻却される。しかし、親族のいない成年被後見人が医療行為の同意につき判断能力を有しない場合、臨床の現場では、成年後見人が同意を求められる、同意しないと成年被後見人が医療行為を受けられない、こういう現実があるわけでございます。予防接種、胃潰瘍の手術、胃瘻造設手術、経管栄養、足の切断、骨折の手術、治療などが現場から報告されているわけです。
法解釈としましても、成年後見人には、成年被後見人の医療につき、法制度上の同意権がない。しかし、成年後見人には医療看護に関する職務があり、これは民法八百五十八条、本人のために医療契約を締結する権限が与えられており、契約締結後の医療の履行を監視する義務があるので、生命身体に危険性の少ない軽微な医療行為については成年後見人に代行決定権がある、こういう見解もあるわけでございます。
現場でどうなっているのかということで調べました。本当に成年後見人がこの医療同意について困っているわけでございます。その中で、家庭裁判所でいきますと千葉家裁が「成年後見人のしおり」というのを出しております。最高裁に確認しましたら、それ以外は、この医療同意については出していないということです。ある意味では、千葉家裁は親切でありますが、ほかはそうでないということが言えると思います。
それで、この「成年後見人のしおり」二〇一一年四月版、それから二〇一二年においても、この医療同意についてどう記述しているかということを紹介いたしますと、「親族がいない場合、親族の協力が得られない場合、緊急を要する場合で、病院から特に救命に必要な医療措置として手術や治療への同意を求められた場合には、治療の必要性等を考えると同意をすることもやむを得ないこととして認められると思われます。」ということで、千葉家裁のしおりでは、同意することもやむを得ないこととして認められると思う、こういうふうに記述しております。
「ただし、そのような同意をする権限があることを示す明確な規定はありませんので、」明確な規定がないので困っているんですね、現場は。「ありませんので、同意してよいか判断に迷う場合は、事前に家庭裁判所にご相談ください。」こういうふうに同意権を認めているということでございます。
ただ、延命治療の中止や治療拒否については、これは「第三者の後見人としては同意すべきではありません。」という説明もあるわけでございます。
この成年後見人の医療同意権限について、現行法上どのように考えているのか、お伺いしたい。また、臨床の現場のニーズに対して医療同意代行制度の創設ということも必要だと思うんですが、成年後見人に対し、一定の要件のもと医療同意代行決定権限を付与することについての所見をお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 今委員の方から、成人後見人の制度のいわばすき間が大変これからも問題になる、こういう御指摘でございました。
法務省としてどうするかということをまだ方向づけるわけにはまいりませんけれども、基本的には、医療の問題ということで、厚生労働省の方でまずは先行してどうするかという基準をお示しいただければ、私の方はその厚生省の基準に従って法的な整備をするというのが順序だろうと思っております。
今御指摘のように、いざというときには緊急措置しかできない、これは御指摘のとおりでございますから、すき間は何とか埋めていかなければいけないというのは御指摘のとおりだというふうに認識をいたしております。

○大口委員 今大臣から、前向きともとれる答弁をいただきました。
やはり厚生労働省と一緒にこの問題は、違法性阻却事由の問題などもございますので、協議を進めていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

○滝国務大臣 厚生労働省の方とも協議をしながら進めるべき課題だと思っています。

○大口委員 もう一つ。成年後見は成年被後見人である本人の死亡により終了する、権限も消滅するわけであります。ところが、実際には後始末が残されていまして、権限がないにもかかわらず、未払いの医療費や公共料金等の支払いはもちろん、身寄りのない場合は遺体の引き取りや埋葬まで求められ、これに対応せざるを得ない状況になっております。
東京家裁後見問題研究会の論文で、親族ないし相続人がいない場合でも、成年後見人が、遺体を引き取った上、常識的な限度で葬儀、永代供養の依頼及び供養に必要な範囲で墓地、墓石の購入を行い、費用を遺産から支出することは許可されてよいのではなかろうか。相続財産管理人から支払いを受ける。その権限の法的根拠としては、成年後見人の義務とまでは言えないから委任終了時の緊急処分義務に求めるのは相当ではなく、事務管理というほかないであろうか。そうすると、費用は立てかえ金となる。これは、判例タイムズ二〇〇五年一月二十五日号で述べているわけであります。
しかし、こうした事態は成年後見人を極めて不安定な地位に置くものであり、一定の明確な要件のもと、被後見人死亡後であっても、その直後に必要となる事務処理を行い得る権限を後見人に与える法改正が必要であると考えますが、いかがでございますか。

○滝国務大臣 今御指摘の問題も、同じように法のすき間の問題かと存じます。
現実には、相続人がきちんとしていれば相続人が取り組む話でございますけれども、その相続人も見つからないという場合には、成人後見人が後始末をするということが前提でしょうし、また、それができなければ市町村が御遺体をお引き受けする、これが日本の法制の建前でございますけれども、せっかく成人後見人がいらっしゃるのに市町村に後は任せるというのも、これは何となく納得のできない問題かと存じますので、ここら辺についてもよく検討をしていく課題だというふうには認識をいたしております。

○大口委員 そういうことで、成年後見人の権限については、権利の制限の問題も含めて、さまざまな問題があります。こういうことも、各省横断的な、厚生労働省とか総務省ですとか、あるいはもちろん法務省そして最高裁、いろいろな縦割りのために総合的に推進できない、検討できないという問題がございます。
より成年後見制度の利用が促進されるよう、内閣府に成年後見利用促進会議というものを設けて、あるいは現場の意見を聞くということで成年後見利用促進委員会というものを設けて、基本計画を立てて、そして、市区町村が非常に大事な役割を持っておりますので、また、総合的に推進する、そういう促進法が必要ではないかな、私はこう思っておるところでございます。
次に、裁判官常駐ゼロ地域の解消についてであります。
平成二十二年八月末現在、地方裁判所において、全国二百三の支部のうち四十六カ所に裁判官が常駐していないようでございます。常駐裁判官がいない支部では、他の裁判所からの出張裁判官で賄うために裁判の日数がなかなか確保できず、期日が入らない、一つの事件に十分な審理の時間がとれないといった弊害が生じているとの指摘もございます。保全事件等においても支障があるということも指摘されております。
今後、裁判官の常駐ゼロの支部を解消する必要があると考えますけれども、最高裁はゼロ支部解消に今後どう取り組んでいくのか、予定はあるのか、常駐させる場合の基準をお伺いしたいと思います。

○戸倉最高裁判所長官代理者 委員が御指摘のように、全国二百三の支部のうち四十六の支部では、裁判官が常駐することなく、近隣の庁から出張処理をしておるところでございます。
裁判所の裁判官の配置につきましては、基本的にはそこの業務の負担量ということを基準に配置をしておりまして、そういった関係で、一人の裁判官を常駐するだけの業務量がないところは、人材の有効活用という観点もございまして、近隣からの出張処理ということをやっておるわけでございます。
今後の見通しにつきましては、事件動向を見ますと、支部におきましてもやや事件が減少傾向にあるということですので、今直ちにどこの庁で解消するかという見通しというのは必ずしも立っておるわけではございませんけれども、今委員が御指摘になりましたような個々の庁の具体的な事件処理の状況、これが、出張して事件を処理するということによって、利用者の方々に御迷惑をおかけするとか、そういったことがないようにこれまでも十分努めてきておるところでございますけれども、こういった点は、いろいろな審理期間、期日の間隔、あるいは緊急事件の処理状況等、きめ細かく見ながら、対応が必要な場合にはきちんとした対応をとってまいりたいと考えております。

○大口委員 刑事分野における判検交流については、五月八日の閣議後の記者会見で小川前大臣が「今年四月の人事をもちまして検察官と裁判官とのいわゆる判検交流は廃止しました。」と、こういう発表がありました。これは評価したいと思います。
もう一つは、訟務分野の判検交流についてでございます。
これについては、当時の江田法務大臣が平成二十三年四月十二日の参議院法務委員会で、判検交流について、訟務の部分には確かに問題多少あると私も思っておりまして、これは少なくしてまいりたいと思いますが、一気にというわけにはいきません、こういう趣旨の答弁をされているわけです。
この訟務分野における判検交流について、縮小、さらに廃止ということを検討しておられるのか、また、今後の訟務分野における判検交流の見通しについて、法務大臣にお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 判検交流について、原則禁止というか廃止とはちょっとニュアンスが違うところがあるわけですね。
まず、今御指摘の訟務部門、これにつきましては、御指摘のとおり、その規模を縮小していきたい、こういうことは第一点としてございます。
それからあと、裁判官を検察官に振りかえていく、こういうこともやめていきたいということでございますけれども、法務省本省の事務について、裁判官をある程度判検交流という格好で持続するということについては、まだ少し時間的にそのようなことをしていかないといけないのかなと。
要するに、裁判官が検察業務を行うという、訴訟の場で前面的に出るようなことはまずやめていこう。そうじゃないと、どうも信頼性というか、そういうものにひびが入る、こういうことで、そこからまず手がけていこうというのが今の状況でございます。

○大口委員 その上で、訟務分野ですね、訟務分野で裁判官が国の代理人として行政訴訟等を行っていく、このことについてはいかがでございますか。

○滝国務大臣 いわゆる訟務分野については、これはもう減らしていこう、こういう基本原則には変わりありません。

○大口委員 時間が参りましたので、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

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