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大口よしのり国会質問

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2013年5月16日

183-衆-憲法審査会-9号 平成25年05月16日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
第十章最高法規及び前文について、公明党を代表して意見を表明いたします。
まず、第十章の最高法規の論点のうち、基本的人権の由来特質の論点について申し上げます。
九十七条は、「この憲法が」「保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、」「過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と規定しています。
基本的人権については、十一条において「侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」とされ、十二条において「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」とされています。
そのような基本的人権について、改めて第十章最高法規の章の冒頭にある九十七条でその本質を規定することにより、憲法の実質的な最高法規性を支える規定となっております。そのような意義を強調するのが学説上も通説となっています。
九十七条の規定は十一条後段と内容が重複しており不要であるとの指摘がありますが、九十七条には今述べましたような積極的な意義が含まれているものと思いますので、現行の規定のままでよいと考えます。論点表ではCの立場であります。
次に、国内法秩序における条約の位置づけの論点について申し上げます。
条約と憲法の関係については、あくまで国の最高法規である憲法の方が条約より優位するとの見解に立つべきであると考えますが、それは既に憲法上明らかでありますので、九十八条については現行規定のままでよいと考えております。論点表ではCの立場であります。
次に、憲法尊重擁護義務の論点について申し上げます。
国民の権利を保障し、その保障のために統治権力を制限するという近代立憲主義の観点からすれば、憲法尊重擁護義務の名宛て人は、本来、統治権力の主体、統治権力を持つ者であって、この九十九条にありますように、天皇または立法、行政、司法の代表的な者、公務員であって、主権者国民ではありません。国民の憲法尊重擁護義務を憲法に明記することについては、我が党としては否定的でございます。論点表ではCの立場であります。
次に、前文の論点について申し上げます。
日本国憲法の前文は、平和主義などの理念を高らかにうたっているものであります。また、核のない世界の実現に向けて国際社会の懸命な努力が続けられている中、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とした前文にうたわれている平和的生存権の思想は、唯一の被爆国としての使命をあらわしているものであり、改めてその意義を評価すべきであります。
そのような前文に加えるべき項目があるとするならば、例えば憲法の骨格をなす三原則の一つである基本的人権の尊重が前文に明確に書かれていないことから、これを加えるといったことが考えられるのではないかと思いますし、そのような見解も党内にあったところでございます。
党内には、この人類普遍の原理とともに、日本人としてのアイデンティティーを共有できる記述が前文に必要だとの議論もあります。しかし、これは価値判断が伴いますので、人によって考え方や意見が異なるものであり、果たして日本人全体で共有できるか否か、この点に留意して議論を行う必要があると考えます。
二十一世紀の国際社会は、相互協力関係の構築が一段と求められています。そのような点で、国際社会で名誉ある地位を占めたいとの前文の記述が、人道復興支援などのいわゆる国際貢献の根拠とされてきました。しかし、これでは不十分であることから、国際貢献の明確化を求める指摘が党内にもあります。この点につきましては、憲法前文あるいは憲法の本文に書き加えることや、法律で規定することといった選択肢が考えられます。
最後に、私の個人的な見解を申し上げます。
人類普遍の原理とともに、人間の安全保障、地球環境、生命倫理といった人類普遍の原理に準ずるような価値については前文にうたわれてよいのではないか、加憲するにふさわしいものではないかと考えます。
特に、人間の安全保障の理念については、約二十年前に提起され、紛争と貧困にあえぐ人々に対する支援の理念として大きな影響を与えてきたものであります。
昨年九月に国連総会で、人間の安全保障に関する国連総会決議が採択されました。この決議は、我が国も提案国の一つとなっているものでございます。この決議で、人間の安全保障について、自由と尊厳のうちに生存し、貧困と絶望から免れて生きる権利、恐怖からの自由と欠乏からの自由を享受する権利を人々が有することなどが共通理解とされたところであります。
こうした人間の安全保障の理念については、前文にうたうことが十分考えられると思います。
以上、私の意見表明とさせていただきます。

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