大口よしの活動記録

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2021年8月21日

危険な盛り土の対策強化を―不適切処理の法規制を視野に

危険な盛り土の対策強化を―不適切処理の法規制を視野に

静岡県熱海市伊豆山地区の土石流災害はきょうで発生から50日。23人の尊い命が奪われ、8月20日現在、依然4人が行方不明となっています。崩落の起点にあった盛り土が被害を拡大させたとみられ、この災害を機に再発防止に向けた対策が進められています。

土などを盛って斜面を平らにしたり、周囲より高くしたりする建設工法の“盛り土”。森林開発のために盛り土が行われていたとされる熱海市の災害現場では後日、その高さは「市に提出された計画の3倍超の52メートルだった」(県担当者)ことが判明しています。各地の建設現場で利用されなかった残土を業者が安い価格で買い取り、ここで不適切に処理していた疑いもあります。

この業者は熱海市内で土砂を巡り複数のトラブルを起こしています。2007年以降、市や県が森林法や県土採取等規制条例に基づいて指導や命令を行っていましたが改善はみられませんでした。違反の罰則が比較的軽いことや、建設残土を取り締まる法令がないことがネックでした。

建設現場で発生する、がれきや木くずの場合は、廃棄物処理法で収集・運搬から最終処分まで厳しく管理され、不法投棄の罰則を5年以下の懲役または罰金1000万円以下と定めています。対照的な扱いになっている背景には、建設残土はこれまで規制の対象ではなく、リサイクル資源の一つと見なされてきたことがあります。


■法の空白埋める条例

国レベルの法規制がない中で、その空白を埋めてきたのが自治体の条例です。地方自治研究機構によると、盛り土の崩落を防ぐ規制条例を設けているのは21府県(2020年4月)、372市町村(今年7月)を数えます。一方で、条例のない自治体や、条例の規制が緩やかな自治体に残土が持ち込まれやすい現状もあり、法規制の必要性がクローズアップされています。


■増え続ける建設残土―国土交通省推計

建設残土は、住宅建設で発生するほか、河川のしゅんせつから出る土砂も含まれます。国土交通省の推計によると、2018年度は東京ドーム約230杯分に当たる約2億9000万立方メートル発生しています。うち約2割は再利用されておらず、この一部が「不適正処理されている可能性が高い」(国土交通省)。

水害の頻発化によって、しゅんせつ工事が増え、建設残土のさらなる拡大も見込まれています。実際、政府は国土強靱化基本計画に基づく緊急対策で、2018~2020年度には全国の国直轄河川で年間約900万立方メートルを掘削。これは緊急対策以前の年間量と比べ、約1・3倍に当たる規模でした。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(2021~2025年度)では、各年度で約1500万立方メートルまで掘削量を拡大させる計画を立てています。


■公明提言、府省会議で検討開始

今回の災害発生後、被害の検証や課題の把握をいち早く進めてきたのが公明党です。

蓮池章平、高田好浩の両静岡県議会議員と米山秀夫、後藤雄一の両熱海市議会議員が、党「災害対策・防災・減災・復興推進本部」の大口善徳本部長(衆議院議員)と連携し、被災者支援とともに、土石流の背景や課題を調べ上げ緊急要望書に反映させました。

大口本部長は7月13日、赤羽一嘉国土交通大臣(公明党)にこの要望書を手渡し、「盛り土の規制見直しなど再発防止に向けた取り組みを進めてほしい」と申し入れました。

これを受け今月10日には赤羽大臣が主導して盛り土の安全対策を進める関係府省連絡会議が立ち上がり、初会合が開催されました。今後、同会議では土地利用規制の強化などを視野に具体的な検討を進めていく方針です。


■搬出入の監視体制拡充進める―党「災害対策・防災・減災・復興 推進本部」本部長 大口善徳衆議院議員

今回の災害では、不適切に処理された盛り土が被害を拡大させたとみられています。再発防止には、まず赤羽国土交通大臣が表明した、自治体や関係府省と連携した全国総点検を速やかに実施し、危険な盛り土の実態を明らかにすることです。排水設備の有無や湧水の異常を含む盛り土崩落の兆候がないかをきめ細かくチェックし、危険と判定されれば速やかな撤去や対策を講じていくことが求められます。

さらに、危険な盛り土を防止し、建設残土が不適切に処理されることがないよう、土地利用規制の強化など国によるルール作りを進めていくことが大切です。

残土の監視体制拡充も重要になります。昨年度から国土交通省は、量や搬出入先、運搬業者の車両情報を情報通信技術(ICT)を駆使して管理するトレーサビリティーシステムを試行的に実施しています。制度化も含め、しっかり後押ししていきたいです。



(公明新聞 2021年8月21日付より転載)

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